ついに「国籍」が売られ始めた

政府が国籍を売って数十億円を稼ぐ?


こんにちは、コームナタ編集長のakiです。今回取り上げる世界のニュースはこちらです。


Surge in passport sales delivers Vanuatu a record budget surplus(パスポート売り上げが急上昇し、バヌアツ政府の歳入が記録的な増加に)
イギリス・ガーディアン紙 現地2020年8月20日 23時配信
https://www.theguardian.com/world/2020/aug/21/surge-in-passport-sales-delivers-vanuatu-a-record-budget-surplus



コロナで観光客が来ない!

バヌアツ共和国は太平洋に浮かぶ小さな島国で、主な産業は観光です。しかし、いま世界中で流行している新型コロナ感染症により、観光客が激減しています。バヌアツのように観光に依存している国は、こうなると国全体が沈みかねない訳ですが、なんとバヌアツ政府の歳入は今年の上半期に3300ドル(日本円で30億円以上)も上昇しました。このほとんどは2016年からバヌアツ政府が自ら行っている「パスポート販売企画」が今年は大盛況だったことにより起こりました。


バヌアツのパスポートは、ビザなしで渡航できる国が非常に多いため、ビザなしで渡航できる国が少ないパスポートを持っている人たちにとっては喉から手が出るほど欲しいものです。ちなみに、日本のパスポートは世界の中でもビザなしで渡航できる国が86か国と極めて多く、アジアでは最も多くなっています。また、大国だとビザなしで行くことができる国が多くなるわけではありません。例えば、アメリカはビザなしで渡航できる国は49か国しかありません。さらに、中国のパスポートではビザなしで渡航できる国はわずか26か国しかありません。そういう人にとってはバヌアツ国籍を取ることには非常に大きな意義があります。彼らはお金がありますし。


また、バヌアツ国籍を買う際にはバヌアツに住む必要はなく、収入の15パーセントをバヌアツ政府に納めれば問題ありません。実際、国籍を買った人の中でバヌアツに住んでいる人は(当然のことながら)まずいません。




「国籍販売」の功罪

この「パスポート販売企画」のコロナ渦での大成功と歳入の上昇によって、バヌアツ政府はコロナ対策、そしてサイクロン対策に予算をつけることに成功しました。一方で政府が自ら「国籍を売る」という行為は良いことばかりではないと考えます。

私が運営しているサイト「コームナタ」では「香港『残りの550万人』はどこ?【後編】―世界で2番目に不平等な都市」という記事で香港政府がいかに市場の論理に取り込まれ、結局お金持ちの中国本土に飲み込まれてしまったという事例を取り上げました。このように、政府が積極的に市場に関わると、もはや市場の論理以外では動けなくなります。最終的には、市民よりお金持ちのいうことを聞くようになるでしょう。


これは本当に「政府」なのでしょうか。資本家の言うことを聞くただの「エージェント」に成り下がっているように思えます。

ちなみに、「インバウンド」で儲けようとしていたのは日本も同じ。もちろんこんなことをすぐにするとは思えませんが、根っこは同じようにも思えます。


お読みいただきありがとうございました。




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