哲学の謎 野矢茂樹

哲学の謎 野矢茂樹 2002年 講談社



軽く読める哲学書 時・意思・自由の根本を考える名著



ここまで実学に関する本ばかりを取り上げてきたので、ここでひとつ哲学の本の紹介を。といっても私自身哲学に詳しいわけでも、関心が高いわけでもない。ただこの野矢茂樹さんの哲学の謎は何度も読み返してしまう妙な魅力がある。


時は流れているだろうか。私が見ている木は本当にそこにあるか?などと読者に問いかけてくる。本のつくりも独特で、ふたりの対話によってさまざまな話題に関しての議論が進んでいく。野矢氏曰くどちらも野矢氏本人とのことである。中身に少し触れると、9つの章で構成されており、それぞれの章でふたりの掛け合いで面白おかしく展開されている。



面白いのが、哲学に関しての著者の知識を披瀝する本ではなく、ふたりの議論から読者も一緒になって考えることが出来る点である。哲学と聞くとカントやらソクラテスやら難解な禅問答が続くと思われがちだが、本書は著名な哲学者はほとんど登場しなければ難解な言葉も出てこない。コロナ禍で先が見えなくなった時代だからこそ、人とは何なのか、自分とは何なのか、自由とは何なのか改めて自分で問い直すのにもってこいの1冊。


はじめに

1 意識・実在・他者

2 記憶と過去

3 時の流れ

4 私的体験

5 経験と知

6 規範の生成

7 意味の在りか

8 行為と意志

9 自由

あとがき

※画像はAmazonから引用

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